とろろ昆布とあきたの話

 

 

ごくごく薄いおぼろ昆布、これを作る包丁はアキタといわれています.この包丁は、刃先を少し曲げて昆布の表面にひっかリ易くしてあります。名の由来は大正5年頃高野甚三郎という昆布職人がいました。 この職人は浪花節が好きで、それがエスカレートして浪花節一座の1員として地方巡業に出かけていったが、秋田県で興行成績があがらず解散した そこで、この職人は日銭を稼ぐため地元の昆布屋に職を探した 作業場では、女性が透き通るようなおぼろ昆布を削っている。思わずめを見張ると 昆布の両端を固定し刃先をわずかに曲げた包丁で削っているではないか 包丁を借りて自分でもすると、さすが昆布職人すぐにその技を自分のものにしてしまった やがて堺に戻ると昆布店に雇ってもらい、おぼろ昆布を削り出した 最初は刃先の秘密を知られぬように便所で隠れて茶碗の先でまげていたらしい そのうち、うわさがひろがり他の店でも遊郭で1晩遊ばせては秘伝を教わったらしい その後、改良を加えていきおぼろ昆布の生産量は飛躍的に増えた これにより、今でもこの包丁をアキタと呼ぶそうです